パナソニック システムソリューションズ ジャパン(株)

「ケーブル技術ショー2021」オンラインでバーチャル展示会実施

ケーブルテレビの高度化と業務効率化を促進する

パナソニック システムソリューションズ ジャパン(株)((*)東京・中央区、片倉達夫社長、以下パナソニック)は、「ケーブル技術ショー2021」オンライン(6月14日~7月30日)にて「バーチャル展示会」を実施している。『Smooth Migration with Smart Operation』をコンセプトに掲げ、4Kへの円滑移行、放送のIP化、ローカル5Gの導入、作業・業務効率化に関する最新の商品やソリューションを提案している。
(*)パナソニックグループの持株会社制への移行に伴い、パナソニック システムソリューションズ ジャパン(株)は2022年4月に、パナソニック コネクト(株)に社名変更する。

【取材対応】岩本 卓紀氏 パナソニック システムソリューションズ ジャパン(株)STBネットワークBU 商品技術部 部長

パナソニック システムソリューションズ ジャパン「バーチャル展示会」トップ画面
パナソニック システムソリューションズ ジャパン「バーチャル展示会」トップ画面
Blu-ray対応モデルも商品化予定と発表 4K-STBが遂にフルラインアップに

パナソニックは、2020年11月に業界最小クラスのSTB「TZ-LS500B」を、2021年2月にはBASICモデル「TZ-LT1500BW」とDVRモデル「TZ-HT3500BW」と、新型4K-STBを続々リリース。2022年春には、ロングセラーのBlu-ray対応STBの4K対応モデルの発売が控えている。
パナソニック製STBの特長は、幅広いラインアップとともに、4K視聴や動画配信サービス(OTT)への対応の拡充による、多様な顧客ニーズに応えていること。
4K対応STBは高機能な分、高価なイメージがあるが、ENTRYモデル「TZ-LS500B」は、外付けHDDへのBS4K録画やNetfl ix、Hulu、Amazon Prime Video等のOTTサービスにも対応という高機能ながら、小型化・省電力化、そして低コスト化まで実現している。また、BASICモデル「TZ-LT1500BW」、DVRモデル「TZ-HT3500BW」はトリプルチューナー(うちBS4K放送対応は2チューナー)を内蔵し、OTTサービスへの対応、従来機種から好評だったホームネットワーク機能やリモート視聴を継承。また、両機種とも新たに高音をクリアに聞き取れるゆっくりはっきり再生や番組を見逃さない新番組特番お知らせ機能等が追加されている。利便性と使う楽しさが味わえる高性能を追求している。

業界最小クラスのENTRY「TZ-LS500B」
業界最小クラスのENTRY「TZ-LS500B」
BASIC「TZ-LT1500BW」
BASIC「TZ-LT1500BW」
DVR「TZ-HT3500BW」
DVR「TZ-HT3500BW」
STBの設置・交換を効率化するクラウド活用サービスが登場

パナソニック製STBのもうひとつの特長が、クラウドを活用した設置作業の効率化や遠隔サポートであり、ケーブルテレビ事業者の業務効率化に寄与する機能が付与されていることだ。
4K対応STBへシフトする際、ケーブルテレビ事業者にはSTBの交換作業が負担となる。しかし、ここもパナソニックの「設置効率化サービス」により、交換作業がスムーズとなり、マンパワーおよび時間、そしてコストの削減につながる。
「設置効率化サービス」を活用すれば、使用中のSTBの設定情報や録画予約などのデータをクラウドにアップロードし、新しい4K-STBにそのデータを引き継ぐことができる。しかも操作は非常に簡単だ。郵便番号と既存STBのCAS番号を入力するだけで、新規STBへデータを引き継ぐことができる。オフィス内で作業を完了させ、加入者宅では設置作業のみと時短になるほか、STB内蔵のアプリについても設定変更が必要になった際、加入者宅に訪問せずにオフィスからクラウド経由で設定が変更できる。また、STBを送付し加入者自らが設置することも可能だ。ニューノーマル時代に適した対応が行える。オンラインテックセミナーでは、各機能のデモンストレーションも映像で公開されており、メリットを体験できる。

■「設置効率化サービス」の流れ
■「設置効率化サービス」の流れ
クラウド技術の活用で顧客満足度向上と解約抑止へ

多数のOTTサービスの登場により、ケーブルテレビは新規加入者獲得や解約防止が難しくなってきた。そこで重要なのが、データを活用したマーケティング。
パナソニックは、クラウドを活用した「CATVデータマネジメントサービス」を提供しているが、これは、テレビの視聴状況を可視化するソリューション(CSVデータでの提供とWebブラウザでのグラフィック表示機能の2コース)。今回、これまでのSTBごとの放送視聴データの収集・分析に加えて、OTTサービスの利用状況もサービス毎に把握できるよう高度化された。これにより、放送ネットワークごとやチャンネル単位での放送視聴率の24時間推移とともに各OTTサービスの利用状況との比較が確認できる。
STBの設置時のデータを活用し、エリアごとの視聴状況が地図上で確認できる新たなターゲティング分析機能も追加された。例えば、地方選挙の特番を放送した際、その番組が地域ごとでどの程度視聴されているかが、地図上にプロットの大きさで表現される。このサービスを活用すれば、選挙特番やイベント中継をはじめ、各種番組が地域ごとの視聴率データで検証でき、地域特性に合わせた番組制作やマーケティングに活かせ、番組強化につながる。
また、放送&OTTサービスの利用状況が把握可能なことから、利用状況全般がより詳細に把握できる。「最近STBの利用状況が落ちている」「加入から1カ月程度なのにSTBの利用が極端に少ない」などが時系列で把握できるほか、利用されていないSTBを抽出することも可能だ。ひと目で利用状況が把握可能なだけに、迅速かつ効果的な解約防止策を打てる。
さらに、パナソニックでは、この視聴データをベースにAIによる使用者の嗜好を割り出し、レコメンド機能の提供を検討中だ。「家庭内ならばお父さん、お母さん、子どもたちと、それぞれに対してレコメンドできるほか、ケーブルテレビのおススメ番組などの訴求も可能。ケーブルテレビ事業者様のご要望に応じてリリース時期を検討中」だ。新たな視聴体験を提供することで、満足度向上を図り、加入者拡大に寄与していく。

■「CATVデータマネジメントサービス」イメージ
■「CATVデータマネジメントサービス」イメージ
ACAS移行やIP化を支える新たなソリューションを発表

STBによる4K&高度化とともに、ケーブルテレビはACASへの移行やIP化も進めていく必要がある。
パナソニックは、今回新たにエンコーダー「TZ-ENC850P」をリリースする。高画質ながらも設置場所を選ばないハーフラックサイズの小型化を実現。H.265/HEVCもしくは、H.264/MPEG4-AVCのコーデックに対応し、HD-SDIの4入力を持つマルチチャネルHDエンコーダーとして利用可能。4Kオプション「TZ-ENC850P01」の追加により、同一装置でH.265/HEVC高画質の4Kエンコーダーとして利用可能だ。4K利用時の入力は12GSDIが1本、もしくは3G-SDIが4本の両方に対応している。
ハーフラックサイズのコンパクトな筐体ながらも高機能なのが特長。SDI入力すべてにフレームシンクロナイザーを内蔵し、ネット経由で提供された信号など不安定なものやスイッチャーの動作に影響されることなく、安定したエンコードを実現する。なお、エンコード出力は、DVB-ASIとIPの2つ。しかも同時に出力が可能だ。
また、IP出力はマルチキャストだけでなく、HTTPで映像・音声を伝送するMPEG-DASHサーバーを内蔵することで、PC、スマホなどのWebブラウザに対して、40クライアントまでユニキャストによる動画配信も可能。マルチキャストに対応していない施設内ネットワーク用としても最適なソリューションといえる。また、ローカル自主放送に対するACAS対応として、エンコーダー内蔵ACASスクランブラーの商品化を予定している。「JLabs SPEC-035 3.0版」に準拠。エンコーダーを内蔵し、2Kなら4chまで、4Kなら1chを同一装置でスケーラブルに対応する。スクランブルIP出力を2系統持つことでHOG経由での高度ケーブル自主放送とローカル自主放送とを後段の高度ケーブル自主放送システムでは同等に扱うことができ、今後のACASマイグレーションがスムーズに行えるようになる。

■4Kエンコーダーの機能
■4Kエンコーダーの機能

ここでは、STBとヘッドエンド関連を中心に紹介したが、「バーチャル展示会」では、使用イメージがわかる動画による詳細な説明はもちろん、ACAS放送をIP配信するIP連携HybridSTB&HEやWi-Fiのリモート監視、ローカル5G等、通信サービスのソリューションも紹介している。また、岩本氏も登場するオンラインテックセミナーも公開されている。ケーブルテレビ事業者の“お困りごと解決に寄与する”パナソニックの最新ソリューションの数々に、ぜひ触れてみてほしい。

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