No.236 分配と成長の好循環?

2022年1月号掲載

20世紀から脱出できない日本

岸田総理大臣が壊れたラジオみたいに「分配と成長の好循環」って言い続けている。
これを聞くたびに高校の「政治・経済」の木村先生の授業を思い出す。
これだけ長期間デフレで、給与も上がらず消費も低迷しているのに、スタグフレーション(景気が後退していく中で物価上昇が同時進行する)が起きない。もはや日本だけが世界から取り残され、20世紀から出られなくなった怪現象のようだ。以前ならそこへリッチな中国人が買い物に立ち寄ってくれたが、今はそれもない。完全に循環が止まっている。
だから、日本の抱える問題は10万円の給付では一切何も改善しない。そんなことは、高校生でも分かる。
分配したら、先行き不安から貯金に行くだけで以前と同じ結果となる。もともと貯蓄意識が高い国民は、パァーと使ったりしない。だから好循環なんて起きない。なぜ分からないの?
不景気になると、大田区の車部品工場の取材に行くのも恣意的な報道で、忖度が生むフェイクニュースの一種ではないか。

イケてるかイケてないかは明白

世界の流れをちゃんと見なよ。世界の循環はデジタル化、脱炭素によるEV化を軸に急速に動いているんだよ。デジタル庁も何やってんのかな?どうしても分配(原資は税金だけど…)したいのなら、デジタルツールとなったマイナンバーカードに紐づかせたバンクアカウントに振り込みでいいじゃない。
こういうちょっとした政策で国の本質が分かる。日本国がいかにアップデートしてないか。
国がイケてるかイケていないかは明白だ。世界の景気を牽引する企業はApple、Amazon、GoogleなどIT企業であることは明らかである。IT企業といったって、いろんなタイプの企業がある。前述の3つだって、AV機器からコマース、検索までITの中でもまるで業種は違う。でも共通するのはデジタルを駆使した社会のDX化を推進しているという点だ。あまりにも巨大化しすぎたことが問題になっているが、日本のような世界を代表するITがまるで存在しない国においては、もっと悲惨な状況になっている。つまり国民の生活を劇的に変える要素のない業種しかない国では、いくら10万円配っても永遠に未来への需要は喚起されないのだ。

ダイナミックな戦略あってこそ!

DX化を前提に政策を進めろというと、「弱者を見捨てるのか!」って言われるかもしれないが、社会がDX化しないと国民全員の未来がないから、助け合ってデジタル慣れしていない人に教えるしかない。政策目標は目指すべきところに設定すべきである。企業でも低い目標のところは潰れる運命だ。
DX社会を作ることでしか経済の好循環は生まれない。クーポンを刷るために、官僚や自治体、一部の業者を年末まで残業させるのは、紙と労力と時間の無駄。
20世紀のまま止まった日本社会に来年はあるのか心配になる。
部品メーカーでも製薬メーカーでもDX化のために国が政策予算を徹底的に割く。それで社会の需要を生み出していく。そのダイナミックな戦略があって実行していくことでしか、“成長の好循環”は訪れないだろう。


福田 淳 FUKUDA ATSUSHI
ブランド・コンサルタント
http://tabloid-007.com @fukudadesuga

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