和崎信哉 氏 (株)WOWOW


テレビというのはある種の技術革新の上に成り立つ文化
11年10月に3チャンネル化がスタートします。値上げしないと決断された理由は。

和崎:各家庭が情報、通信、エンターテインメントに支出できる金額や、有料多チャンネル放送市場の予測数値から、さまざまなシュミレーションを行なった結果です。反対意見もありましたが、視聴者満足度向上の付加価値サービスだと判断しました。この判断は一種の賭けで、またも眠れない日々を過ごすことになりましたが(笑)、実際に3チャンネル体制となり、これまで以上に多数の番組をお届けできるようになったことは視聴者に大変喜ばれましたし、何よりも社員のみんなが面白がってくれました。

その後、加入者向け動画配信「メンバーズオンデマンド」も無料で開始しました。

和崎:民間初のBS放送事業者としてスタートしたWOWOWには、新しいものにチャレンジするDNAがあると思います。3チャンネル放送、オンデマンドというものを社員が割と面白がってくれていました。14年の「全米オープンテニス」で錦織圭選手が準優勝を飾ったとき、その瞬間をスマートフォンで見ている姿を電車内で多数見かけたという報告を社員から聞き、非常に嬉しかったですね。

和崎さんは、フィルムからVTR、SDからHD、4K・8K等、新技術・新サービスの転換期に携わっています。放送と技術革新の関係をどのようにとらえていますか。

和崎:自らの経験でいえば、テレビというのはある種の技術革新の上に成り立つ文化であると思います。自分が伝えたいことや思い、物事への興味関心はいつの時代でも不変です。その不変を伝えるのがテクノロジーです。僕自身、「技術革新の上に新しいテレビ文化を育てていくんだ」「それを面白がるんだ」という気持ちを強く持ち続けてきました。