NOTA(株)

検索ヒット率98%を誇る「Helpfeel」
カスタマーサポートの負担を大幅削減

製品やサービスに関するよくある質問・疑問とその回答を集め、Webサイトにまとめて掲載したのがFAQ(FrequentlyAsked Questions)だ。「顧客体験(CX)」の向上やカスタマーサポートセンター、コールセンターへの問い合わせ数を削減するため、FAQページを作成する企業が多い。しかし、FAQページを設けたものの、顧客が疑問を解決できず、サポートセンターへの負担が減らせないで悩むケースが多々あるという。このようなジレンマを解消する、検索型FAQサービスがある。それがNota株式会社(京都府・京都市、洛西一周代表取締役/CEO)が開発した「Helpfee(l ヘルプフィール)」だ。すでに多くの企業が導入し、カスタマーサポートの負担軽減を図っているが、2021年からケーブルテレビ業界での導入も進んでいる。開発した経緯や機能、導入効果などについて、同社代表取締役/CEOの洛西一周氏に伺った。

洛西一周氏
洛西一周氏
Nota(株) 代表取締役/CEO

PROFILE:1982年生まれ。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了後、2007年より渡米してNota Inc.を設立(2020年12月日本法人設立)、世界向けのアプリやウェブの開発を手がける。5年間の苦心の末、米国・欧州マーケットでのシェア獲得に成功。2003年度経産省IPA未踏ソフトウェア創造事業天才プログラマー認定。

独自アルゴリズム「意図予測検索」搭載

─Notaの創業からの経緯を教えてください。
Notaは、2007年に米国シリコンバレーで創業したSaaSスタートアップ企業です。日本発のグローバルなITサービスを生み出そうと、米国Apple社に招かれてiPhoneのフリック入力システムを開発したUI研究者の第一人者の増井俊之さんと共に創業し、2020年に日本法人を設立しました。
Notaの強みは、「⼈を置き換えるのではなく、⼈の弱い部分を助けるツールを作る」をビジョンに掲げ“人にやさしいデジタル”技術を開発する集団であること。誰もが使いこなせて楽しいデジタル技術を研究・開発しています。現在、世界240の国と地域で活用されている世界最大のスクリーンショットの共有サービス「Gyazo」、25万人が利用する直感的UIのナレッジ共有ツール「Scrapbox」、検索ヒット率98%を実現するFAQシステム「Helpfeel」を提供しています。

─Helpfeelのサービスを教えてください。
今、顧客接点におけるWebサイトの重要性はますます高まっています。「コールセンター白書」によると、コールセンターへの問い合わせ前に約7割の人がWebサイトを閲覧しているというデータがあります。そこで重要になるのが、自社サイトにおけるFAQページです。
Helpfeelは、世界初の独自アルゴリズム「意図予測検索」を搭載し、0.001秒の応答速度でCX(カスタマーエクスペリエンス)を向上させる検索型FAQシステムです。「意図予測検索技術」とは、増井さんが開発したiPhoneの「日本語キーボード」に使われているフリック入力技術と同じルーツを持つもので、2019年にHelpfeelをローンチしました。インクリメンタルサーチを搭載し、検索キーワードの入力中に質問を予測して候補ページを表示します。また、曖昧な表現、感覚的な表現、入力ミスなどにも対応し、即座に検索ワードに関連した回答ページを表示できます。
ケーブルテレビ局への問い合わせを想定すると、「つながらない」と打つだけで、即「インターネットがつながらない」「電話がつながらない」の回答ページが表示されます。また、「切れる」「おかしい」などの単語や感情的な表現、状況を表す言葉でも検索がヒットして質問に合わせた回答ページが表示されます。これは弊社の「テクニカルライター」(企業にあわせてFAQの辞書作成を行うHelpfeelスタッフの名称)が、納品先の企業のためにカスタマイズした辞書を作成しユーザーによって異なる言葉選びの違いや感情的、抽象的な表現、送り仮名の違いやスペルミスにも対応できるようにプログラムを作って検索ヒットさせています。テクニカルライターによる「質問表現」と質問の予測パターンを拡張する意図予測のアルゴリズムによって、質問パターンを50倍以上に拡張することが可能になります。これによりユーザーの曖昧な質問や要求にも適切な質問文をマッチさせ、Helpfeelでは検索ヒット率98%を実現しています。

─検索機能がない、検索しても正しい回答にたどり着けない等の体験が多々ありますが、Helpfeelならばそれを大幅に改善できるということですね。開発から2年ほどで、IT、医療関連、人材派遣、百貨店、地方自治体など、多種多様な業界で採用された要因は。
カスタマーサポートセンターへ問い合わせをする要因は、ユーザーがWebサイト上で問題を解決できないためです。従来型のFAQは検索ヒット率が低く、ユーザーが求める答えにたどり着けないからです。しかし、Helpfeelならば「言葉にマッチする質問を提示する」仕組みでヒット率を格段に上げることができます。ユーザーごとに異なる質問表現やスペルミスも吸収するので、幅広い世代で使っていただける非常にわかりやすいプロダクトです。
もうひとつは、私たちが導入企業様のカスタマーサポートを伴走しながら支援している点です。導入前に企業様ごとに独自の辞書を作成し、既存のFAQコンテンツを読みやすくしたり、重複を整理するなどFAQコンテンツの索機能があり、検索窓にあるマイクボタンを押して話しかけるだけで目的の回答が見つかります。名詞や動詞のキーワードが自動で抽出されるので、知りたいことや困っている状況を話すだけで簡単に検索することが可能です。現在は、FAQページでの活用がメインですが、「時代劇が見たい」など、コンテンツに紐づけた活用も今後は可能です。たとえば、Helpfeelを導入いただいているDIYショップでは、商品やDIYの工程を紹介する動画コンテンツとHelpfeelを連携させています。ケーブルテレビ局様でもすでに「テレビ台数を増やしたい」といった回答へ誘導できています。今チューニングをします。また、導入後には毎月1回定期ミーティングを開催し、どのような検索キーワードで検索されているかやFAQコンテンツのアクセス数などのデータ分析を用いて、FAQをブラッシュアップするコンサルティングをさせていただいています。
これらにより、ある企業ではカスタマーサポートセンターへの問い合わせが64%削減できました。このように私たちが常に伴走しながらサポートすることで、FAQの運用に係るマンパワーを軽減させられるので、問い合わせの削減はもちろん、注力したい業務や有人対応にリソースを割けるため、カスタマーサポートセンターの業務効率化にもつながります。

コンシェルジュのようなサービスへと昇華

─Helpfeelを採用するケーブルテレビ局が増えているそうですね。
ケーブルテレビは、放送・インターネット・電話など、多様なサービスを提供していますし、技術的な問い合わせが多い業界です。また、ファミリー層や高齢者層に多く利用されていて、少しでもわからないことがあると電話で問い合わせする加入者が多いと聞いています。Helpfeelは、言葉の揺れやスペルミスにも対応できるのでF A Qを利用するユーザーの年齢層が幅広く、かつ多様な商品を扱うサービスとの相性が非常によいシステムです。幅広い世代からの問い合わせがあるケーブルテレビとは相性がよく、現在は、(株)新川インフォメーションセンター様、射水ケーブルネットワーク(株)様にHelpfeelを導入いただきました。
新川インフォメーションセンター様と射水ケーブルネットワーク様ではHelpfeel導入ページへ遷移するQ Rコードを作り、それをデータ放送時に表示するほか、加入者に送付するチラシに印刷するなど、手元のスマートフォンですぐに自己解決できるように誘導を工夫されています。また、Helpfeelは音声検索機能があり、検索窓にあるマイクボタンを押して話しかけるだけで目的の回答が見つかります。名詞や動詞のキーワードが自動で抽出されるので、知りたいことや困っている状況を話すだけで簡単に検索することが可能です。
現在は、FAQページでの活用がメインですが、「時代劇が見たい」など、コンテンツに紐づけた活用も今後は可能です。たとえば、Helpfeelを導入いただいているDIYショップでは、商品やDIYの工程を紹介する動画コンテンツとHelpfeelを連携させています。ケーブルテレビ局様でもすでに「テレビ台数を増やしたい」といった回答へ誘導できています。今後は加入促進や利用率向上のお手伝いにも活用いただけると思います。
このようにトラブル解消はもちろん、商品検索やサービス検索などにも活用いただけるようにし、Webやアプリ上におけるコンシェルジュのようなサービスに成長させていきたいと思っています。これにより、導入企業のCX向上に貢献できればと考えています。

「Helpfeel」画面例
「Helpfeel」画面例

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