(株)データブロード

センター配信型データ放送システム「CAPS」 低コストで多彩なコンテンツ提供を実現

データ放送、文字放送やL字放送などのシステム開発・導入を手掛ける(株)データブロード(富山・富山市、松原良樹代表取締役)。富山県を本拠地に構える同社のシステムの数々は、全国の地上波テレビ局やケーブルテレビ局で広く採用されている。従来のオンプレミス型データ放送システムに加えて、新たにクラウド技術を活用したセンター配信型のデータ放送システム「CAPS」を今年中にリリースする。正式リリースを前に、「CAPS」の主な機能やメリットを、2人のキーマンに伺った。

データブロード
(写真左から)須垣拓海氏 (株)データブロード 開発部課長
得能浩二氏 同社 営業部グループリーダー
多彩なコンテンツが魅力 データ放送検討中の事業者に適したコストを抑えたシステム

データブロードは2008年富山市にて創業し、データ放送システム、文字放送やL字画面、ビデオオンデマンド、地域映像情報共有システムなど多数のソリューションをリリースしてきた。なかでも、データ放送システムは、創業時から手掛ける、いわばデータブロードの原点であり、同社製のデータ放送システムは、全国のケーブルテレビ局で多く採用されている。
データブロードは、今日までオンプレミス型のデータ放送システムを提供してきたが、今回、センター配信システムを採用した新型データ放送システム「CAPS」を2021年中にリリース予定だ。「CAPS」とは、“ContentsAssort Palette System”の略。多彩で魅力的なコンテンツを配信することと運用者の作業を軽減しながらコンテンツを選んで配信できることを主眼に開発し、現在、製品化への最終段階を迎えている。「データ放送を提供していない、ランニングコストを軽くしたい、なるべくコストをかけずに災害情報などを届けたいケーブルテレビ局のニーズにマッチしたシステム。これまで単独では導入し難かった高級コンテンツも配信型でコストを均等分割することで、データ放送のリッチ化も図れます。また、発注から運用開始までの期間も短く、ハードウェアが準備できてから2カ月ほどでサービスを開始できます」と同社営業部グループリーダーの得能浩二氏は語る。

データブロードが情報提供元と一括提携 ユーザーがお好みのコンテンツを選択できる

オンプレミス型は、自社運営のため自由度は高いがコストがかかる。一方、センター配信型は、コストメリットがある分、自由度は制限される印象がある。しかし、「CAPS」は低コスト化を図りつつも、多彩なコンテンツの中から必要なコンテンツジャンルを選択し、ほどよいサイズ感のサービス提供が可能だ。
データ放送画面のデザインを統一化したほか、気象情報や河川、交通などの情報の入手先(提携先)と提供メニューも共通化した。加えて、多彩なコンテンツを有料(オプション)で提供し、コストと提供コンテンツの両面を睨みながらサービスが構築できるようになっている。
初期コンテンツは、気象庁のHPとリンクされた気象情報や、各自治体HPとの連携による地域情報。行政のHPに掲載されたお知らせ情報を自動で表示・更新する。また、手動入力も行え、ここではケーブルテレビ局からのお知らせや地域ニュース、イベント情報等が表示できる。手動入力画面では、画像表示も行えるので、地域ニュース等は写真付きで行える。
追加コンテンツとしては、Lアラート情報の表示、天気予報、河川監視、交通/鉄道情報、フライト情報、全国のニュース、趣味に関する情報、クイズや占い、料理レシピなどで、現在準備を進めている。
各コンテンツの情報提供部分をデータブロードが一括運営することで、コストを抑え、ケーブルテレビ局への作業負担を軽減する。地域の消防庁や警察からのメール連携もオプションで対応する。オンプレミス型と遜色ない地域に特化した情報提供が行える理由は、データブロード側でのカスタマイズと連携システムで実現している。例えば、気象情報も気象庁のHPデータを基に、データブロード側で採用ケーブルテレビ局が必要とするエリアの気象情報のみを提供・表示する。行政・自治体のお知らせ情報は、データブロードの情報連携技術が活かされている。河川監視カメラ映像のニーズが急増しているが、これらを提供する場合、各河川監視事務所と個別に許諾を得ていく必要があるが、「CAPS」では、全国各地の河川映像と情報を一元管理している事業者と契約し、そこからケーブルテレビ局にあった映像や情報のみを提供する体制を構築している。
「河川管理事務所のサーバにアクセスが集中し、HPがダウンしてしまうケースがあります。HPがダウンすれば、ケーブルテレビ局も映像提供できなくなります。『CAPS』は河川情報を一元管理している事業者と提携しており、そのようなことが起こりません。また、データブロードで長年培ってきた情報連携プログラムを『CAPS』用に改修し、各自治体やサイトとの連携も可能です。自治体のHPのページ構成等が前触れなしに変更となった場合もエラー通知でお知らせするほか、弊社内でも監視をサポートしています」と開発部課長の須垣拓海氏は説明する。

閲覧操作の速さにこだわり 日ごろから利用してもらえる環境を

インターネット経由で災害情報を取得するケースが増えているが、高齢者は今もテレビがメインであり、テレビでの災害情報提供が見直されている。ケーブルテレビもコミュニティチャンネルやデータ放送での情報提供に注力している。データ放送を使ってもらうには、日ごろから親しまれるコンテンツや使いやすい操作性、そして重要な情報を視聴してもらえる工夫が必要だ。
「CAPS」では、避難指示等が出た場合には、コミュニティチャンネルにチャンネルを合わせるだけで、割り込み情報として緊急情報等が強制表示される。また、ページの階層を少なくするなどし、少ない操作で必要な情報にたどり着けるよう配慮されている。得能氏は「データ放送は起動の速さが大切。dボタンを押して立ち上がるまでに時間がかかると、徐々にデータ放送への接触度が低下します。閲覧操作の速さにもこだわり、軽いページ構成になるようにし、災害時でも即座に情報を得られるようにしています。データ放送を日々活用してもらうには更新感が大切。メニュー画面等のデザインは全国共通ですが、そのデザインテンプレートを増やしていくことも検討しています」と説明する。
センター配信型という新たなデータ放送システムを発表したデータブロード。文字放送、緊急L字放送、ビデオオンデマンド、ハイブリッドキャスト、ライブ配信など、各種サービスの高度化と、これら情報の自動連係等を進め、さらなる利便性の向上を図っていく方針だ。

「CAPS」によるデータ放送トップ画面(開発中のイメージ)
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お問い合わせ先(株)データブロード 営業担当 得能 TEL.076-471-5316 info@databroad.comhttps://www.databroad.tv/

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