No.233 NFTアートの可能性

2021年10月号掲載

デジタルに“1点もの”の価値 月間2,000億円市場に急成長

さて、NFTアート(一点ものアートとしての証明書が付いているデジタル作品)の市場が物凄い勢いで伸びている。
リアルアートの世界は、“一点もの”に価値がある。この世に一点しかないからオークションで高騰もするし、贋作が作られることもある。一方、デジタルアートの歴史は、20世紀半ばからテレビやマルチメディアが出現したことで始まり、“メディアアート”と呼ばれてきた。
有名なメディアアートイベントは「アルス・エレクトロニカ」(Ars Electronica)で、1979年にオーストリアのリンツで始まり現在に至る。
本来デジタル技術は、原版を劣化なく大量にコピーできるところに特徴がある。“一点もの”に価値の主軸をおくアートの世界では、デジタルアートは個別性の無さにより、肩身の狭い思いをしてきた。
しかし、2021年3月にBEEPLE作品がクリスティーズにて75億円で落札されるや、NFTがメディアアートを現代アートに昇華させたのだ。
NFTアート市場は2021年初頭にドーンとブームがきた。現在、半年ちょっとで1,000億円市場となっている。NFT全体(ゲームアイテムなど)は、月間2,000億円(8月のみ)で過去最高の市場を作った。

リアルとバーチャルのハイブリッド時代を生きている

さて、どんな人がNFTアートを買っているのか。まず、投機的にアートを見ているリッチ層。普段からクリスティーズやサザビーズなどで買い物している人が、試しに買ってる感じ。ダミアン・ハーストなどのアート界ですでにレジェンドとなっている人の作品は、オークションでの信用の上にNFT作品が購入されている。
一方で、これからのNFTアート市場を支えるのは、多数のティーンを含む若い仮想通貨長者なのである。リアルライフではリッチでなくても、仮想通貨ではリッチ。そんな人たちが増えている。
構造はこうなっている。
若者がNFTゲームをやるうちにゲームポイントの仮想通貨が貯まり、時を経てすごい倍率で仮想通貨自体の価値も急騰する。元々、リアルライフでは普通の暮らしをしており、実感・実態のないバーチャルなマネーは、リアル通貨ほどの消費感がなく、ゲーム感覚でNFT作品を購入している。だからドット絵やCGっぽい絵柄のものが流行る。
中には、購入したNFTアートをメタバース(ネットに繋がった3次元のバーチャル空間で、ユーザー同士がさまざまなコミュニケーションやコンテンツを楽しめる世界)内に飾ったりして楽しんでいる人も多い。
我々はすでにリアルとバーチャルのハイブリッド時代に生きているのだ。町を歩いていても、スマホに没頭しているし、起きている時間の数時間はパソコン世界にいる。
だから、バーチャル世界でしか存在しないNFTアートが、この世に存在しないとは言えないはずだ。


福田 淳 FUKUDA ATSUSHI
ブランド・コンサルタント
http://tabloid-007.com @fukudadesuga

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