No.232 炎上は課題解決の第一歩と考えよう!

2021年9月号掲載

個人がメディア史上最もモンスターになり得る社会

世の中で最近起きていることを「キャンセル・カルチャー」(CancelCulture)という。「キャンセル・カルチャー」とは、著名人など特定の対象者の発言や行動を糾弾し、不買運動を起こしたり放送中の番組やCMを中止させたりすることで、その対象を排除しようとする動きのこと。他者の過ちを徹底的に糾弾し、「あなたは用無し!」(You are cancelled)と言って相手を切り捨てる現象をいう。
メンタリストの「ホームレス不要論」、ミュージシャンの「学生時代における障害者虐待」、野球評論家の「女性蔑視」など、ここ1カ月だけでも多くの事例があり、用無し!のレベルがどんどんヒートアップしている。
確かにどれも酷い話なのだが、本当にそういうことで問題発言をした著名人をメディアから完全排除していいのだろうか? 社会のみんながSNSという武器を持ったことで、容易く問題発言した人を排除できるようになった。皮肉なことに、個人がメディア史上最もモンスターになり得る社会になってしまったのだ。もちろん、この力で社会を良く変える(ソーシャルグッド)こともできるようになったのだけれど…。
脳科学者の茂木健一郎さんが自身のYouTubeで「発言を批判するのはよいけど、人間まで否定しないで欲しい」と仰っていて本当に共鳴した。茂木さんは、「その発言自体は許されてはいけない。それについては徹底的に批判していい」「ただ、その発言した人自体を排除したり、全面的に否定することは違うと感じています」と述べている。
わたしは、もっと人に寛容でありたいと思う。どこかで許す優しさが欲しい。生き辛い社会になって欲しくない。どうすればいいのだろうか?

過ちを改めて学ぶことからスタートしていく社会に

問題発言をした著名人の謝罪の在り方を考え直したほうが良いと思う。
いまは、謝っても謝っても謝っても社会は許してくれない。以前ならば、時が解決してくれていたが、近年の炎上は過去30年間くらいの発言が発掘され、晒され、切り取られ、編集され、極端に解釈される。だから、キャンセルされた著名人は半永久的に許しを得られない。著名人はメディアで発言することが仕事なので、一般人よりもリスクが高い仕事だと言える。それゆえに普通以上の倫理観を持たなければならないのだが、それにしても謝罪の効能がなさすぎる!
問題となったイシューに対して、書面で詫びるとか収益を寄付するという行為は、ほぼ意味がない。それどころか逆に「本当に反省してない」という追加炎上を呼ぶ。
問題発言した人は、その問題に対して無知か見識がないという状態だと思う。まず、「ホームレス問題」、「いじめ問題」、「ジェンダー不平等問題」について専門家から勉強すべきだ。そして、自分の過ちが何だったのかを改めて学ぶ。熱心に勉強することで、もしかしたら一般の人よりその分野に詳しくなるだろう。それを踏まえて、著名人にしかできない活動を継続的に行うのだ。
そういう活動をエネルギッシュにやっている人を許さない社会など存在しない。問題発言は、問題をクローズアップさせ、そしていつか社会に還元できるようになればそれで良いのではないか。

◆参考
茂木健一郎さんのYouTube「発言を批判するのはよいけど人間まで否定しないで欲しい」
https://youtu.be/ZAn8XbRJRKE
「DaiGo氏の差別発言に関する見解と経緯、そして対応について」NPO法人抱樸 理事長 奥田知志(2021年8月16日)
https://www.houboku.net/news/20210816statement/


福田 淳 FUKUDA ATSUSHI
ブランド・コンサルタント
http://tabloid-007.com @fukudadesuga

おすすめ