No.223 愛されるブランド価値を作る方法~プロフィットからベネフィットへ

2020年12月号掲載

株価にも反映するブランド価値

Brandという言葉は、牛にBurned(焼印)をいれることが語源となっている。
カンター社による企業のブランド価値に関する調査結果「世界で最も価値のある日本ブランドランキング」が発表された。
https://www.kantar.jp/solutions/reports/brandz
下記が国内のトップ企業の状況。
・トヨタの総売上29.9兆円に対して、ブランド価値は2.9兆円と10%程度。
・ソニーの総売上8.3兆円に対して、ブランド価値は1.1兆円と13%程度。
それに対して、グローバル企業は…
・Amazonの総売上28兆円に対して、ブランド価値は42兆円と売上のプラス50%の価値。
・Appleの総売上26兆円に対して、ブランド価値は35兆円と売上のプラス44%の価値。
つまり、日本企業のブランド価値はグローバル企業と比較して、1/15程度しかない。このあまりにも大きなブランド価値の差は当然株価にも反映している。
マーケティングの神様 ジム・ステンゲル氏によれば、米国の代表的な株価指数「S&P 500」(ダウ・ジョーンズ・インデックスが算出しているニューヨーク証券取引所、NASDAQに上場している銘柄から代表的な500銘柄の株価を基に算出)の株式価値の1/3はブランド価値と試算している。そのくらい“ブランディング”は大事なのである。

ブランディングは社長担当

日本企業はマーケティング施策だけではなく、もっとブランディング施策を講じなければならない。
マーケティングとブランディングの違いを簡単に説明すると、商品やサービスのことを企業からみるか、消費者からみるか、180度視点が違う物差しなのである。
マーケティングとは、自社の商品やサービスを知って買ってくれという作業。それに対して、ブランディングは、消費者が商品やサービスをどれだけ愛しているか! ということを作り出す作業だ。
商品が知られて買われることは短期的に利益になるが、その威力と効果は短い。ブランディングは、商品が愛されたら長期的な利益に結びつく。「エルメス」や「ベンツ」は、モデルチェンジしても、新商品がでても、長期的には利益も価値も下がらない。ブランディングは、単年主義的な予算措置では難しい分野なのである。なので予算の社内コンセンサスを得るのが難しい。ブランディングへの投資は、社長が理解しないと進まない。副社長でも専務でも進まない。マーケティング予算(PR)は、宣伝部長に属して良いが、ブランディング予算は社長が担当しないといけない。ブランディングは、「4つのR」で構成される。PR・IR・CSR・HRである。従来の宣伝PRに加え(PR)、企業の情報(IR)、企業の社会活動(CSR)、働く人たちへの施策(HR)の4つがビシッとできて、はじめて企業のブランド価値は上がっていく。

良い人が作る商品は愛される

消費者から愛されるためには、たくさんの広告をうつだけでは意味がなく、商品の良さは当然として、その商品が社会にどう必要なのか。その商品をつくる企業や社員が社会から愛されるような環境を作っていくことが必要になってくる。消費者の心の内側(インサイト)に入りこむために従来のマスメディア(テレビ&Web)だけではなく、SNSもうまく活用した戦略を立てなければならないのだ。
良い人が作っている良い商品は愛される。地球に優しく、社会に良いことをする企業も愛される。マーケットをよく見ると、すごく儲けているブラック企業は、長期的には儲けられなくなっている。
ブランディング施策は、すぐに売り上げがあがる類のものではない。ただ長期的には経営に貢献する。それがブランディングの効果なのである。
企業はプロフィットからベネフィット(*)へ、向かわなければならない。

*プロフィット(Profit):利得や儲けなど金銭上の利益。ベネフィット(Benefit):金銭に限らず満足感など心理的な利益なども含む


福田 淳 FUKUDA ATSUSHI
ブランド・コンサルタント
http://tabloid-007.com @fukudadesuga

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