No.212 サード・ワールドなニッポンへ

2020年1月号掲載

世界中を飛び回って感じる近年の日本の悲しい姿

この原稿は、令和元年の年末にバンコクのホテルで書いている。
わたしは、この1年も仕事と遊びで多くの海外に渡航した。年に20万マイルくらい旅をした。地球6~7周くらいである。会社があるロサンゼルスや北京は定期的に行かなければならず、他にもパリ、ロンドン、ハワイ、バリ、ラオス、香港、台湾など慌しく移動する。当たり前だが、外国では自分は“外人”である。その国のルールに従って生きていかなければならない。政治、宗教、生活習慣、そして、その国の人たちとのコミュニケーションのとりかたも。
飛行機にのっていると、国境はみえない。たまに、自分がどうして日本人といえるのか疑問がわいてくる。世界75億人の中の1億人の国に生まれ、その特殊な言葉を操り、税金を納めると、“日本人”ということになるのか? だから、自分の目には日本も外国のように見える訳だ。英語と中国語とスペイン語を話せれば、地球のどこへいっても人とコミュニケーションをとることができる。それくらい、自分にとって地球は狭い。その観点で日本をみると、近年の日本は悲しくなる。1997年を基準とした先進国の実質賃金を比較すると、スウェーデンが138.4に対して日本は89。アメリカが115.3。オーストラリア131.8、フランス126.4、イギリス(製造業)125.3、デンマーク123.4、ドイツ116.3となっている。OECD(全労連が作成した資料)では、8カ国中最下位だ。

大きな原因のひとつはマスメディアのあり方にある

OECD労働生産性でみると、G7の中で日本は最低となっている。アメリカが一番生産性が高い。ドイツなどは残業を放置した上司がポケットマネーで180万円支払わないといけない法律が存在するほどだ。ついでにいうと、世界経済フォーラムが発表した2019年の男女平等度ランキングによると、日本は153カ国の中で121位となり、先進国の中では最も低い。女性の給与は男性の6 掛け( 男性100%に対して女性66.2%)だ。
つまり、日本は効率が悪い上に働きすぎで、かつ賃金も低い。なんてことなんだろう! これ、すべて誰のせいか。中国のせいでも韓国のせいでもない。すべて日本の政治が無策だからこうなったのだ。それでも、国民が自民党政権を支持する不思議な国。わたしはその大きな原因のひとつがマスメディアのあり方にあると考えている。第四の権力のはずのマスメディアのトップが頻繁に首相と飯を食い、しかも奢られて手懐けられている。まさにサード・ワールド(発展途上国)なのだ。
首相は嘘を繰り返し、身内にだけ甘く、官僚は忖度して政権に不利なデータを消去、それを見た他の政治家も平気で企業に無心する。腐敗以外のなにものでもない。こんなデタラメな政治を終わらせるために、いまこそマスメディアは本来の機能を取り戻すべきではないのか。マスメディアがしっかりしていれば、政権の不誠実が白日のもとに晒され、次世代の政治が形成される。
マスメディアが誠実であるためには、総務省がテレビ局の免許更新には厳しく対応すべきだと思う。みんなは、自分たち国民に主権があることをより強く自覚し、三権分立の中のひとつである国会(立法権)の機能を強くするために一つひとつの選挙で自分の意思を表明すべきなのだ。そのためにマスコミの情報を鵜呑みしない自分をもつことが大事と思う。SNSではフィルターバブル(自分が好きな情報だけが集まる仕組み)を避けるためにも、必ず自分と反対の意見も検索することも必要である。
このような危機感をもって令和2年を迎えたいと思う。


福田 淳 FUKUDA ATSUSHI
ブランド・コンサルタント
http://tabloid-007.com @fukudadesuga

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