No.211 リーダーの思想と民度の関係

2019年12月号掲載

トランプ政権の意思がイミグレにも表れる

先日、ロサンゼルスに出張に行った。現在、ロスでアートギャラリーを営んでいるので、定期的に行く。ロスに支社もある。そんな気軽さから、いつも通り入国しようとするとイミグレーションで止められた。ロスに初めて行ってから30年近く経つが初めての経験である。
日本を夕方に出発し、ロスには午前10~11時ごろに到着する。日本の頭では朝の4~5時くらいの感じ。どうにも、ボケた頭で質問に答えるので、どうもそれがいけなかったらしい。

イミグレ「どんな目的での訪米ですか?」
福田「アートギャラリーやってるので、その件で」
イミグレ「アートってどんな取り引きを?」
福田「ギャラリーですから、お客さまが欲しいと云ったら販売するのです」

この辺から変なムードがながれる。
で、「その会社はアメリカ人から儲けるだけのものなのか?」というかなり一方的な質問や「なぜアメリカ人を雇わないのか?」という方向に進む。
そして、別室へ移動し、待つこと2時間、尋問1時間。スマホをさわることも禁止、トイレは許可制。まるで刑務所ではないか? 別室には30名ほどのほぼアジア人女性が集められていた。あとから分かったことは、シングルの一人旅の女性は、止められる可能性が高いという。どうも米国人との結婚目当てと思われているようだ。
つまり、これはすべてトランプ政権の意思の現れなのだ。

世界を知らないと自分は狭くなる

以前は、飛行機の到着ロビーには、オバマ大統領の写真が大きく掲示されていた。今は、そのスペースには何もない。しかし、その別室にはトランプの写真が掲示してある。
オバマは毎月のようにカリフォルニアに来訪したが、トランプは数えるほどしかきていない。ロスはニューヨーク出身のトランプが嫌う要素が満載の街なのである。空港には多くの入国審査スタッフの募集広告があった。“ApplyNow!”
トランプがいかに白人至上主義者なのかが分かる。アジア人、ヒスパニック、黒人に対する異様な憎しみが自由の国アメリカを不自由にしている。
今回、街で何度か差別的な場面に出くわした。偶然だろうか? ロスの友人に聞くと、確かにそういう傾向が顕著になってきたとのことだ。これはあくまでも肌感に過ぎないが、そういう町の感覚は当たっていることが多い。

自国の大統領が毎日SNSで「マスコミはフェイクだ。あいつはバカだ。こいつは死んだ方がマシだ」といってることの異常さが、国民のある種の差別意識を助長しているのではないだろうか。今までは教育で制御されていたものが、トランプ大統領の悪態でその封印を解かれたような状態になっている。
つまり一国のリーダーが平気で嘘をついたり、改ざんを要求したり、公平性のない人事などを続けたら、その国の閣僚はもちろんのこと、国民の民度も下がってしまうのだと思う。
世界は多様性の必要性を解きながら、実はどんどん分断していっている。
これを防ぐためには、旅をしよう。国籍の違う友達を作ろう。世界を知らないと、自分は狭くなると心得よ。


福田 淳 FUKUDA ATSUSHI
ブランド・コンサルタント
http://tabloid-007.com @fukudadesuga

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