No.208 “あおり”運転が引き起こす“あおり”の連鎖

2019年9月号掲載

一方的な嫌韓モードにも

さて、今回のテーマはあおり運転である。
茨城県の常磐自動車道で、おあり運転で嫌がらせし、高速道路で車を停止させ、運転手を殴打して逮捕されたM容疑者(43)。そして、その様子をガラケーで撮っていた恋人K。
かつては、この程度の事件は報道の価値もなかった。しかし、現在ではドライブレコーダーや街の監視カメラが大活躍し、その映像素材はたちまちSNSで拡散され、瞬く間に炎上となる。
テレビは、日に日にSNS的な報道姿勢をとっているようにみえる。Mのことは“暴走おあり男”、Kのことは“ガラケー女”。容疑者をキャラ化することで、視聴者に有無を言わさず事件を茶化し、どんな人も疑いなく安心してサンドバックのように叩けるようにしている。
こういう報道姿勢が正しいのか疑問である。むろん容疑者をかばう気はない。事件をなんでもキャラ化しショウアップすることに疑問を持つのだ。こういうやりくちが、一方的な嫌韓モードにも繋がっていると感じる。

軽い気持ちが犯罪加担に

そして、その“あおり”をさらに受けた報道被害者の方がいる。
この女性は、K容疑者に似た格好をした服装をしただけで間違えたられたのだ。「朝起きたら犯罪者扱い。こんなことが起こるんだな」と。
インターネット上での人権が侵害されたとして、法的手段に訴えるという。もちろん、訴えるべきだ。そして、それを訴えても、無責任に反応した人は、ほぼ何も咎められることはなく、平気で平和な日常を続けていくのだろう。被害者の立場にたったらこんなとんでもないことはない。報道被害については、法的には下記のような人たちが罪になることを列挙しておく。

(1)最初にデマ情報を流した人
(2)不適切な言葉を用いて情報を積極的に拡散した人
(3)リツイートのみした人
(4)まとめブログ運営者、動画配信者
(5)騒動に便乗し、容姿を誹謗するなど無関係の事柄で被害女性を貶めた人

すべて法的責任を問うことができるのだ。
噂話は、数日でなくなっても、被害を被った人は、長い間苦しむことになる。軽い気持ちで動いた指がやったリツイートも、犯罪加担に繋がっているという認識を深く持たなければならない。

報道を疑う目を持って欲しい

実はあおり運転は、ひとつの例にすぎない。わたしがもっと深刻に心配しているのは、日韓関係である。稚拙な政治が生んだ両国の分断に、この“あおり”が大いに関係していると思うのだ。一方の側だけしか報道されていないという事実にさえ気づかない我々。文在寅大統領の演説全文を読んでみるのもいい。いや、それ以前に報道全てを疑う目を持って欲しいのだ。
誰かが、「こんなひどいことをしている」とSNSで言っていたら、それはこの人がある事実について述べた、その人の脳を経由した2次情報であると考えよう。一次情報はどこにあるのか。もし、その問題にそこまで深く考えられないのなら、リツイートしてはダメだ。どのような事実があるのかは複数の報道筋から多角的に確認する癖をつけたほうがいい。その上で、自分の考えを述べるべきなのだ。
せっかく技術革新がもたらした便利を、ヘイトの道具にしてはいけない。


福田 淳 FUKUDA ATSUSHI
ブランド・コンサルタント
http://tabloid-007.com @fukudadesuga

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