No.206 デモとSNSが結ぶ新時代

2019年7月号掲載

快不快の感覚こそが大事

金融庁が老後資金で年金以外に約2,000万円が必要との報告書を公表して世論がざわついている。
その問題で6月16日に都内で政府の対応に抗議するデモが起きた。実業家の堀江貴文氏がデモについて「バカばっか」とツイートし、「ほんとそんな時間あったら働いて納税しろや。税金泥棒め」ともツイート。「税金泥棒」がトレンド入りするなど炎上状態となってしまった。
ここで争点になっていることはいくつかある。単に「ホリエモンの発言が下品で気分が悪い」という快不快の部分と、デモ参加者の納税と補助のバランスがどうなっているのか? という2つのところにあると思う。彼自身も「デモの様子を見ていると気持ち悪い」と述べているが、まあ快不快は人の感覚の問題だから仕方ない。という考え方もあるが、この快不快の感覚こそがいま大事なのではないか。事実としての税金泥棒は、デモ参加者のデモグラフィックを考えても無駄に税金が支払われたということはないだろう。むしろ、悪いことして収監されて税金が投入された人の方が税金泥棒かもしれない。

SNSによる“世論の見える化”

快不快の方に話題を戻す。いま、世界中で世論を動かしているのは、政治などの為政者だけではない。SNSの普及による“世論の見える化”が政治にも大きな影響を及ぼすようになったのだ。
先日、香港で新しい法律「逃亡犯条例」の改正案についての審議が行われた。これは、香港の容疑者を中国本土へ引き渡させる無理矢理な法律である。香港にいる政治上、ビジネス上の理由で拘束された人たちが中国当局へ引き渡される恐れがあり、香港が維持してきた自治権が損なわれるため抗議の声が上がっている。
ちょうどこの時に香港に居たのだが、過去に例のない規模のデモが行われ、6月9日の日曜日に130万人が参加。ホテルから出られなかった。政府はそれでも採決の強行をしようとした。そして、いよいよ制定と目されていた6月12日には200万人を超えるデモが行われ、駅も道路も閉鎖された。何人かの逮捕者やケガ人もでた。翌日、政府は法案の延期を発表。廃案でなかったことに、さらに300万人近いデモ(香港市民の1/3以上)が行われ、本日現在(6月23日)でも解決が見えない。しかし、どうだろう。この勢いと成果。国家の主権は国民にあり、そして情報は逐次SNSで発信され、世界中が監視する中で無謀な政治の暴走が食い止められつつあるのだ。

国際的なコミュ力を考えるべき

一方、日本はどうだろう。私も、デモで世の中を変えるべきだといっているのではなく、民衆の力が一向に政治を変えない現状に不満をもっているのだ。与党は長い政権維持によってマスコミを完全に手懐けている。第四の権力と言われたテレビ・新聞は殆どが御用記事となっており、それに影響された若者の右傾化も進んでいる。
日本の矛盾や改革が進まない要因の中に“日本語問題”がある。香港はイギリス統治からの自治領なので、公用語が英語。SNSでも伝搬しやすい。日本のこのデタラメな政治は、70億人の世界のなかでたった1億人しかコミュニケートできず、哀れ世界に知られることなく、言語鎖国のままでいることになる。
21世紀になりイギリスをはじめ、世界中の政権交代や政変はSNSの力が後押ししている。日本も令和の到来と来年の東京オリンピック・パラリンピックをきっかけに国際的なコミュニケーションの在り方を考えるべきではないのだろうか。もはやホリエモンひとりに弄ばれている暇はない。


福田 淳 FUKUDA ATSUSHI
ブランド・コンサルタント
http://tabloid-007.com @fukudadesuga

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