No.200 新世紀に思うこと。

2019年1月号掲載

バブル期と今の違いは?

2019年春で平成が終わり、新元号になる。日本はどこへ行こうとしているのか。そんな中、世界で活躍する企業の時価総額の比較(30年前と今)を見て愕然とした。上位を占めていた日本企業の片鱗もない。30年前、50社のうち日本企業は32社も存在したが、いまは1社(トヨタ自動車)のみとなっている。この30年ということは、1988年と2018年の比較だから、バブル時代期と今の違いということになる。その間に20世紀から21世紀になった。欧米では20世紀型労働集約の大量消費社会を作った「トイザらス」「シアーズ」「リーマン」などの企業が相次いで倒産。「Amazon」や「Google」など情報加工をメインとする新興勢力が圧倒的な力をつけた。しかし、日本の製造業は変化を拒み、シャープも東芝も沈んだ。シャープは台湾企業に身売りすることで再浮上しているが、日本企業としての面影はすでにない。

上意下達の体系が狂い始めた

何がいけなかったのだろう。全て日本の経営者の意識が要因と思う。労働集約的な仕事がダメなのである。簡単にいうと20世紀的な仕事の考え方を否定し、新しい発想を勉強し取り入れることに完全に失敗した。インターネットの普及によって、社会構造が大きく変わったのだ。まず情報流通経路。インターネットが出現する前の人々の情報のリソースは、テレビと新聞が主だった。つまり、大きな企業が取材する一方的な情報を国民は信じるしかなかった。そのメディア構成を利用し、企業は大量のテレビスポットと大量生産によって巨万の富を得ていた。しかし、ブロードバンドの普及やSNSが発展し、個人が気軽に情報発信できるようになると、たちまち上意下達の体系が狂い始めた。ツイートひとつで商品がクレームされ、発売停止に追い込まれる。ひどい時には会社ごとなくなる。こういうことは20世紀にはなかった。SNSでパワハラも過重労働も差別も全て全世界に逐一報告されるようになった。つまり、情報が水平に行き渡るようになったのだ。自分の友だちや知っている人の情報で人が動くようになると、今まで秘密にされていた上層部の嘘が次から次へと明らかにされ、裸の王様が続出した。

「いつまで社会人気分でいるの?」

さて、こんな状況の中でどんな意識改革をすれば良いのか。全ての解決は、現在の社会環境の中にある。その年輪を深く分析することによって、未来の可能性を探るべきなのだ。企業は、従業員の時間を買っているのではない。人の可能性を会社にライセンスしてもらっているのだ。在宅勤務、アウトソース、クラウドソーシングなどあらゆるタイプの労働形態が存在するいま、本当に毎日9時~5時で人をオフィスに集める必要があるのか? 仕事はつねに現場にある。だから、オフィスでやっていた作業はオフィスでやる必要がなく、PCやスマートフォンを使ってスタバやマックでやることだってできる。WeWorkなど世界中をネットワークしているシェアハウスも続々とできている。時にみんなが集まって議論することも必要だろう。それも4K映像を5G回線で送れる会議システムがあればもっと便利になるだろう。それでも目的を達成するために自分たちでできないことがあれば、クラウドや提携企業を見つけて水平構造を作るべきなのだ。要するに里の仲間ってことなのである。かつての会社人間がもはや役に立たない。なぜなら、大学卒業してずぅーと同じ企業の村社会にいた人が人とのつながりを求められても無理だからである。今後は「いつまで社会人気分でいるの?」という問いかけが大事なのではないか。日本人が乗り遅れた21世紀を取り戻すために、新しい元号は自分たちが生まれ変わるきっかけになるのではないだろうか?


福田 淳 FUKUDA ATSUSHI
ブランド・コンサルタント
http://tabloid-007.com @fukudadesuga

あわせて読みたい