月刊「B-maga」 好評連載コラム『考えるメディア』 福田淳

No.197 ガテン系が創るニッポン再建考

2018年10月号掲載

飛躍的に人口が増加する

2018年6月15日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針」は画期的なものである。政府は2019年春から、「農業」「建設」「宿泊」「介護」「造船」の5分野で単純労働者に在留・労働資格(ビザ)を発給する。最長5年間というものだ。いままでは、「教授」「芸術」「法律」「会計」「技術」など専門知識に限ったアート系ビザしか発給してこなかった。つまり、ガテン系のニーズに国が応えることになる。ご承知の通り、日本の人口は今後ますますいびつな逆三角形になっていく。少子高齢化の波はまず地方を襲う。アート系のビザからガテン系になることで、日本は飛躍的に人口が増大することになるだろう。政府は5年間たったら戻すと強弁しているが、実際、意欲溢れた若者が日本に押し寄せ、それなりに社会の一員となれば、強制送還というわけにもいくまい。2025年3月までに、次の政府が判断していくことになる。

クレオールとなっていく日本

過去、日本は単一民族として、ほぼ多様性のない人口構成をたもっていた。移民の受け入れは、毎年30人以下という先進国でも異例の低水準である。もちろん、島国という特殊事情はあるものの、いや別にすべての移民が歩いてやってくるわけではない。つまり、来春からやってくる大量のガテン系ビザ保有労働者は、ある意味では移民受け入れと同義語なのだと考えられる。国連の定義では“1年以上母国から離れて暮らす”ことを「移民」と定義している。一時来日した20歳の若者が25歳までの間に日本人に恋をする。そして結婚する、ということは容易に想像できる。そのときに、パパかママだけが強制送還されたら、これはこれで国際問題になるだろう。また、そこで築いた家族は、母国の家族を日本に呼ぶのではないか。こうして、日本はクレオール(混血)となっていく。いいことだと思う。

“他人と違う自分たれ”

多民族がくることへの恐怖。もちろんあるだろう。隣人である中国や韓国でさえ仲良くできない日本人。旅行に行った人が帰国すると、みんなその国が好きになる。しかし、インバウンドで湧く日本においては、日本から外に出るという発想が希薄である。だからこそ、今回のガテン系ビザ発給は画期的な閣議決定なのである。日本人のパスポート保有率は、たったの24%。4人に1しかもってない。殆どの日本人が世界を知らないまま一生を過ごすことになる。今回のガテン系ビザの発給により、日本人は第二の開国を体験することになるだろう。そして、その体験こそが人種間の憎しみを消し、相互理解、相手を認める人格形成に役立つと信じる。多様性とは、他人と違う自分たれ、ということに尽きるのではないだろうか。


福田 淳 FUKUDA ATSUSHI
ブランド・コンサルタント
http://tabloid-007.com @fukudadesuga

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